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ストレスとグルーミング

ここ三島市が数年前に全国的に話題になったことがあります。野生のサルが街中に出没し、人、特に老人や子供を中心に100人以上にかみついたりして襲ったのです。お年寄りや子供を狙って襲うというところがまた手の付けられないところです。

このサルは私の自宅の数件先のお宅でも出没し、そのお宅のご婦人が寝ていて朝気付いたら枕元にいたということですが、又聞きのため真偽のほどは定かではありません。このように町中大騒ぎになったあと、ようやく捕獲されて、さてそのサルをどうするかという話になりました。市民の意見なども聞き、さまざまな意見はもちろんありましたが殺処分はかわいそうという意見も多く、結局市の公園である「楽寿園」内の動物の檻に入れて飼育されることになりました。市が広く市民から名前を募集して「ラッキー」という名前がつけられて公開されたのですが、大騒ぎを引き起こしたサルだけに話題を呼び多くの人が連日ラッキーを見学に来るようになったようです。また、野生から狭い檻の中に入れられたこともラッキーにとっては大きな環境の変化となりました。これらがストレスになったのでしょう、やがて身体の一部に脱毛が見られるようになったようです。そうしてしばらくの間、ラッキーの檻はシートで覆われて非公開となるということがありました。

こうした飼育下の動物が脱毛することは、動物園などでしばしばみられます。狭く変化に欠ける動物園での飼育環境がストレスとなり、必要以上にグルーミングを繰り返すことにより脱毛していくのです。たとえばオウムなどで胸の羽がなくなっていたり、ネコ科の動物でもしつこくグルーミングすることによる脱毛がときに見られます。霊長類では、最初に紹介したラッキーのケースのように、ゴリラやチンパンジーなどさまざまな種でみられます。前回ご紹介したように、グルーミングは動物にとって生存していく上で重要な意味を持つ行動ですが、強いストレスを受けると同じ行動が今度は自分自身に問題を引き起こす要因になってしまうのです。

旭川市の旭山動物園で、動物そのものが持つ生態や行動の特徴を引き出すような環境を作り、そういう行動そのものを来園者に観察してもらう「行動展示」という試みを始めたところ、動物も生き生きとし始めて、来園者も大喜びするようになったということが知られています。その後、他の多くの動物園でもこのような行動展示のアイデアを…