アストン・ヴィラ

私の自宅では2頭のコッカースパニエル犬を飼っています。どちらもメスですが、名前はリーズとチェルシーといいます。これらの名前の由来は、サッカーファンなら気づく人も多いでしょう。ともにイングランドのサッカーチーム、リーズ・ユナイテッドAFCとチェルシーFCから名前をもらったものなのです。リーズ・ユナイテッドAFCは現在は下部リーグでプレーをしていますが、過去には3度イングランドリーグ制覇(せいは)をしたこともある古豪(こごう)です。チェルシーFCは、2003年にロシア人の大富豪(だいふごう)であるアブラモビッチ氏が買収(ばいしゅう)したことにより豊富な財力(ざいりょく)を持つチームとなり、その後は常にイングランドプレミアリーグの上位にいるようになったため現在では有名なサッカーチームです。でも、犬にチェルシーという名前をつけたのは、このように買収されて世界的にも有名なチームになる前なのです。

Chelsea (left) and Leeds


では、私がこの二つのチームが好きかというと、実はそうでもありません。犬の名前としてつけた理由は、イギリスのサッカーチームの名前を犬の名前として挙げていく中で家族に認められた名前がこの二つのチームだったということです。私は、現在ではあまりイングランドのサッカーチームの試合を見ることがないので、イギリスに住んでいた1992年から1995年までのシーズンの記憶(きおく)しかありません。そのかなり前の記憶の中で、リーズ・ユナイテッドはとても激しく走って厳しく相手とあたりタフなサッカーをするイメージがありました。いわゆるイングランドサッカーと言われたタイプです。チェルシーFCに関しては正直なところそのころの記憶があまりありません。でも、それにもかかわらずリーズとチェルシーってかわいい名前ではないでしょうか。

では私が好きなチームはどこかというと、一つは一度試合を見に行ったこともあるロンドンのアーセナルFC,です。でもこれはイギリスでも北部のマンチェスター・ユナイテッドFCやリバプールFCと並んで世界的に有名なビッグクラブなので驚きではないでしょう。アーセナルはさすがに犬の名前として家族に認めてはもらえませんでした。もう一つはアストン・ヴィラです。「アストン」も犬の名前としては微妙(びみょう)な雰囲気(ふんいき)の名前なので、自分の心の中で却下しました。

アストン・ヴィラが好きな理由は、1992年から1995年のシーズン当時、チームにいたディーン・ソーンダースという選手が私の記憶に強く残っているからです。彼はイギリスのサッカーファンにとってどういう位置づけの選手なのでしょう?過去に少し活躍した多くの選手の中の一人?それとも記憶に残る選手なのでしょうか?一度聞いてみたいものです。ウェールズ人である彼はほかのウェールズの選手同様にワールドカップに出る機会に恵まれていないので、どうしても認知度(にんちど)が低くなるのが残念です。

彼がいたころのアストン・ヴィラは、見ていてとても楽しいサッカーをしていました。その楽しさはほかのチームにはないものでした。トリッキーなプレーあり、相手の球を奪ってから一気に攻撃(こうげき)を仕掛けるスピードあり、見ていてわくわくしました。それは、決してビッグクラブではないバーミンガムのチームの彼らが巨頭(きょとう)に立ち向かうために必要な方法だったのだと思います。そのことは、1993年にアレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドとリーグ優勝を争い、94年にはリーグカップ決勝でマンチェスター・ユナイテッドを破って優勝したことからも明らかでした。そのチームの中心にいたのがソーンダースでした。彼にボールが渡ると何かが起きるような期待感が当時見ていた私にはあったのです。ボールを持って、あるいはボールをもらいに縦横無尽(じゅうおうむじん)にピッチを走り回る彼の姿を見ていると、「サッカーは楽しいな」と思えたのです。

先日からインターネットでは、日本人の清武弘嗣(きよたけひろし)がアストン・ヴィラに移籍(いせき)するかもしれないというニュースが出ていました。サッカー選手の移籍に関する情報はほとんどが実現しないので、あまり真剣には受け取らないのですが、実は今回は少し期待しました。あのソーンダースがいたアストン・ヴィラで日本人がプレーするなんて、こんなうれしいことはありません。しかも、清武のプレースタイルは何となくソーンダースを思い出させてくれるワクワク感があります。数日間にわたって当時のアストン・ヴィラを久しぶりに思い出していたのですが、やがてネットでは清武のアストン・ヴィラへの移籍はなくなったとの情報が出ました。やはり夏の夜の夢となって消えてしまったのでしょう。すこし残念ですが、次の楽しみに夢はとっておきましょう。

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