動物の飼育の仕方で個性は変わるでしょうか

行動遺伝学では、性格や行動には遺伝と環境の両方が重要な役割を果たしているといわれています。大雑把にいうと、ほぼ半分は遺伝で残り半分は環境が関わっているといわれているのです。

しかし、これは集団全体を見た時の割合であって、それぞれの個体で必ずしも遺伝と環境が半々というわけではありません。たとえば、いつも多くの天敵が存在する厳しい生存競争の中で生活している動物は、周囲を常に警戒する臆病(おくびょう)な性格になるでしょうし、まったく天敵のいない楽園のような場所で生活する動物はおっとりした動物になるでしょう。こうした集団間での違いは生息している環境が性格に大きく影響したから生じたと言えるでしょう。

一方、家畜の飼育施設、たとえば養鶏場のような均一の飼育施設内で飼育されているニワトリでさえも顕著な個体差、性格の違いがみられることが一般的です。このような性格の個体差はもともと持っている遺伝的な違いが個体差を生み出したと考えられます。

このように、環境が均一だとより遺伝の影響が顕著に見えてきますし、環境が大きく異なれば遺伝よりも環境の影響がより強調されるでしょう。

私の家で飼育しているアカミミガメは、すでに10歳をはるかに超えていますが、まだまだ元気です。ここ数年は水槽を洗う際に庭に離すと私の周囲にまとわりついてきます。さらに甲羅から出した首の下を撫でると気持ちよさそうにしています。おそらくこの飼育環境うが我が家のアカミミガメを慣れた性格にしたのかもしれません。


チェルシーが旅立ってから3か月近くたとうとしています。家族でもそろそろ新しいイヌを家に迎えようかという話をしています。今回は保護施設に入っているワンちゃんを引き受けて里親になろうかと考えていますが、そういう場合はこれまでの「環境要因」は全く分かりません。さて、どのようになるか行動遺伝学者として楽しみです。


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