巣作りの季節

 マウスの雌は数匹から十匹程度までの仔を一度に産みます。その後仔育てをしますが、仔育て上手な雌もいればそれほど上手でない雌もいます。マウスの場合、仔育ての上手でない場合はすぐに仔の死に結び付くので、非常に重要な行動であるといえます。

マウスの系統の中には、仔育ての上手な系統もいればあまり上手でない系統もいます。この子育ての上手・下手はある行動実験である程度分かります。それは、巣作り行動です。

綿を固めた素材が販売されているのですが、それを入れておくと巣作りの上手なマウスはうまく綿をほぐしてきれいな鉢のような巣を作り上げます。一方、巣作りの苦手な個体は、うまくほぐすことができず、巣も盛り上がった状態のものになりません。このような巣作りは、メスが「これから仔育てをするぞ」という気持ちにどれだけなっているか表しているのかもしれません。そういう意味でも、巣作りは研究対象としても興味深い行動です。

季節はすっかり春になりました。家の庭には鳥がよくやってきます。冬の間、水浴びやえさをついばみにやってきていた鳥たちが、春になるとだいぶ行動が変わってきます。もちろんえさを探している鳥もいるのですが、求愛の鳴きあいも増えてきました。家の外ではイソヒヨドリのさえずりがうるさいほどです。

先日庭の芝生にシジュウカラが下りていました。でも少し様子が変です。口に白いひげが生えているようです。

ヒゲのシジュウカラ

よく見ると、なんだか白いものをくわえているのでした。その白いものは、つい一時間ほど前に、私が愛犬のモンを散歩に連れて行って戻ってからブラッシングをして抜けた毛を芝生の上に残していたものでした。そんな獣臭のするもので平気なの?と少し驚きましたが、シジュウカラはなんだかとてもうれしそうに見えて、やがて家の裏手の方に向かって飛んでいったのでした。おそらく巣材につかうのでしょう。犬の匂いはするかもしれませんが、冬の間モンを寒さから守ってきたアンダーコートです。きっと暖かい巣ができると思います。

つい数日前にはいつも庭の水場で水を飲んだり水浴びをしているイソヒヨドリの雌がなにか盛んに動き回っていました。よく見ると、その数日前に新しくゼラニウムを植えたハンギングバスケットからシュロの繊維をぬきとっているようです。バスケットの外側からむしり取るのではなく、土からはみ出している繊維を一本ずつ抜き取っています。それをまとめて加えて水の容器のふちにいったん止まり、やはり満足そうです。

シュロの繊維をくわえたイソヒヨドリの雌
やがてイソヒヨドリは家の上の方に向かって飛んでいきました。
シジュウカラもイソヒヨドリも仔育ての準備で大忙しです。きっとこの鳥たちは上手に子育てをするでしょう。だって仔育てをやる気満々なのですから。
春も盛りになってきています。多くの鳥が仔育ての準備に追われているようです。


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