イヌを飼うということ

イヌは人とのつながりが長く、これまでにさまざまな目的のために選抜育種されてきたため、犬種ごとに特徴ある行動を示します。このことが、イヌの魅力をより多様にしているのでしょう。行動遺伝学を研究している立場からも、このようなそれぞれの犬種の持つ特徴は魅力的です。

私のところにはイングリッシュ・コッカースパニエルが2頭います。名前はLeedsとChelsea。そう、サッカーファンならお分かりと思いますが、イングランドプレミアリーグのLeeds UnitedとChelseaという二つの有名なチームの名前です。すでに11歳と9歳になっていますので、そろそろ老犬となってくる頃かと思うと心配です。でもまだ2頭とも元気です。このコッカースパニエルは、もともとコッカーというシギの仲間の鳥を狩猟する際に、できるだけ気づかれないように近くへ行き、一気にシギをとびたたせるためにつくられたようです。また落ちた獲物をくわえて回収する役割も担っていました。

さて、LeedsとChelseaはやはりその選抜育種された過去を今もって捨てきれないようです。家の外を見張り、ムクドリなどが庭に下りてこようものなら、ほふく前進をして近づいたり、一気にガラス窓にとびかかり、とびたつのを見てさらに興奮したりしています。血が騒ぐとでもいうのでしょうか?


庭を見張るLeeds(左)とChelsea

このような犬種に特徴のある行動は、必ずしもその犬種だけでみられるものではありません。多くの他の犬種も示す行動です。また、コッカースパニエルなら必ず示す行動というわけでもありません。同じ犬種の多頭飼いをしたことのある方なら、犬でも個体によってその性格に大きな差があることをよく御存じだと思います。このように大きな個体差はあるけれども、集団全体としてみると、行動などの特徴が脈々とそのグループの中に受け継がれているのが犬種なのです。こうした犬種の特徴を見ていると、行動遺伝学はやはり面白いと思うのです。

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