自転車に乗ろう

自転車もまた活動性が関与していそうです。歩いたり走ったりするのとは違い、自転車が身体と路面の間に入り、より効率よく移動することができますが、ペダルをこぐ動きは活動そのものです。実際、スポーツジムでもエアロバイクは主要な運動器具の一つです。私自身はこのエアロバイクを使ってトレーニングしたことはありませんが、室内でエアロバイクをこぐ姿はなんだか前回紹介したマウスが回し車をまわしている姿を想像させます。どれだけエアロバイクを回転させたかというデータをとって人の活動量の指標としても面白いデータになるのではないかと考えてしまうのです。

先日も書いたように、車を使って化石燃料を消費し続けるよりも、人が食事でとったカロリーを使って自転車に乗る方がやはりはるかに環境には優しいでしょう。日本は坂が多い国なので、自転車での移動はかなり大変な街もありました。でも、電動アシスト自転車の登場でそういう坂の多いところでも自転車での移動が簡単になっています。実家の両親が購入している電動アシスト自転車に最近乗ってみました。スタート時や坂道などペダルに強い負荷のかかるときにすーっと進んでいくので随分楽に感じます。これなら、自転車に乗って活動する意欲はあるものの、地形や体力の問題で自転車に乗るのが難しい場合でも楽に乗れます。最近は環境への関心の高まりもあり自転車ブームだそうで、通勤や通学、それに休みの日に自転車を使う人が増えてきているようです。なかなかいいことだと思います。でもよく言われることですが、自転車に乗る際の交通ルールの徹底と、自転車専用レーンの整備がより大きな問題になってきています。

交通ルールについては、たとえば自転車の左側通行厳守、これは早いスピードで行きかう自転車が事故を起こさないための最低限のルールですが、これが守られていないことが非常に多く感じています。日本人はその交通ルール順守をする国民性がドイツ人と並んで海外でもよく話題になります。しかし、その同じ国民がこと自転車に関してはあまりルールを守れません。時々自転車で右側通行している人の様子をすれ違いざまに見たりしますが、悪びれている様子はまったくありません。もしかしたら左側通行が交通規則であることを知らないのではないかと思ってしまいます。それ以外にも夜間の無照明なども車のドライバーや歩行者、それに他の自転車にとっても怖いものです。これはなぜなのでしょうか?以前であれば小学校で徹底して自転車講習会などが行われていましたが、現在はあまり行われていません。それ以外には自転車のルールを学ぶ機会は、家庭でのマナー教育に委ねられてしまいますので、それがルールの普及が徹底しない大きな原因になっているのかもしれません。

以前、自転車先進国といわれるオランダのロッテルダムに住む友人を訪ねた際に、彼が大学に行く途中までの自転車専用道路を自転車で回ったことがあります。小さな運河沿いに自転車専用道路が設けられていて快適にサイクリングが出来ました。ロッテルダムにはたくさんの風車が今でも残っています。風車本来の、低い土地の水を水路にくみ出す働きや粉をひいたりする役割は近代的な機械にとってかわられあまり重要視されなくなっていますが、古いものを保存する意味合いが大きいようで、大切に残されているのです。一部の風車はいまだに住宅を兼ねており、その生活の一部となっている風景も素晴らしいものです。こうした風景を脇に見ながら日常自転車に乗ることができるロッテルダムの人をうらやましく思ったものです。


運河沿いを走る自転車専用道路 道路にある標識には自転車専用のマークがあります


自転車専用道路沿いの風車 友人の奥さんの自転車でようやくつま先が地面についているのが悔しい

ロッテルダムの一般道路では、自転車専用レーンがしっかりと整備されていて、ちょうど時間帯が帰宅時間だったこともあり、非常に多くの自転車が整然と走っていました。信号は少なくラウンドアバウトを採用しているので、停止することなく多くの曲がり角も曲がることができて効率よく感じました。このように自転車に乗って移動することが効率よくなっているのは、オランダの人々が車よりも自転車での移動をより重要視しているから成り立つのでしょう。このような自転車専用レーンのルールを守る意識はオランダ国民の中でかなり高いように思います。実際、私の滞在中にも、自転車レーンを阻害しようとした車がものすごい剣幕で自転車に乗った人に叱られているのと、自転車の確認を怠ってレーンを横切ろうとした歩行者が叱られるのをみました。それだけ皆が意識してルールの順守を心掛けているのでしょう。

このような自転車専用レーンの整備は大変ではありますが、日本でもできないことではないでしょう。考え方としては、街中の交通において最優先して考えるべき歩行者は別として、それ以外の車両として自動車と自転車を共存させるということです。これまでは車の交通を優先して道路の整備が行われてきました。そのため多くの道路はかなり車での移動においては便利になってきています。でも自転車はどうするかということについては、車と歩行者の間に隠れて目をつむられてきたとも言えます。そのため、再び自転車が増えてくると、これまではあまり問題にならなかったインフラとルールの整備が問題になってきたのです。当然どちらかを優先させれば他方は多少の不便を余儀なくされます。たとえば、自転車専用レーンの整備を徹底させれば、自動車道路の車線が狭くなったり減ったり、また片道通行の道が増えたりすることもやむを得ないでしょう。今日本では、街中での交通をどうしたいかということが国民の問題としても問われてきているのだと思います。自転車での通行のためのインフラが整備されて交通ルールも守られ、ストレスが少なく街中を移動できるようになればいいと思うのです。

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